OTRAメンバー紹介
今日は福山1234階段王にして岡山のミスターUTMFにインタビュー!
安保和弘
1982年生
岡山県内のトレイルランニングレースの上位入賞の常連者。学生時代にはラグビーで花園に出場経験も。そして、ケン玉のハイクオリティパフォーマーでもあります。
では、どんな人なのか?
簡単な質問に答えてもらいました。
Q.走り始めたきっかけは?
A.友達から小さい島の駅伝に誘われて、走り始めました。2006年です。女子中学生に抜かれました。5km以上走ると膝が痛くなる、どうしようもない素人ランナーでした。
Q.印象に残るレースは?
A.後述のレースで詳しく!!
Q.日頃の練習は?
A.仕事が24時間勤務なので、練習は仕事明けか、休みの日です。
2歳と0歳の娘がおり、2人の昼寝の寝かしつけに成功したら、昼寝タイムに近所を走ってます。
夕方以降は、子ども業務目白押しなので、走ってません。
去年まで、毎月300kmを目安にトレーニングしていましたが、ここ最近は雀の涙ほどの練習量です。
Q.自粛中のトレーニング、チャレンジ、目標は?
A.普段と特に何も変わってません。
Q.1番好きなトレイルは?
A.北アルプスの尾根道が大好きです。10年前頃は、トレーニングを兼ねてソロ縦走をよくしてました。日の出、夕陽、星空、雲海、植物、山小屋のビール、低酸素、紫外線、荒天、キレット、雪渓、雷鳥、歴史、ピーク踏破たくさんの大好きが詰まってます。日の出から日没まで行動して、14,5回はソロテント泊したと思います。その頃TJARを知っていれば、、、
村松会長とも2人で縦走し、ソロテントで2人で寝て、たくさん勉強させてもらいました。親子ぐらいの歳の差ですが、トラクター並みの馬力で進むので気づいたら置いていかれてました。
Q.お気に入りの補給食は?
A.ロングレースでは、#トレイルバター を使ってます。甘くなく、脂質系のエネルギーなので、胃腸のダメージが少ないです。あと、美味しい!
ジェルなら、メダリスト 。おにぎり、コーラ、ナッツも好きです。
Q.コロナ収束後にチャレンジしたいことは?
A.収束後も今の練習環境は変わりませんが、暑くなる前に、娘2人を背負って福山階段を登りたいです!
Q.ベストレースとその理由は?
A.2013年のUTMFです。それまでのすべての経験を注ぎ込んで挑戦し、完走することができました。詳しくは後述しています。
Q.何故走り続けるの?
A.走り続けることに執着はないので、もっと打ち込めるものが見つかれば、スパッとやめるかもしれません。
走り続ける理由をひとつあげるなら、ウエスタンステイツで100miles ONE DAYを達成するため。
24時間以内に完走したら贈られるシルバーバックル、日本人で初めて手にした村松会長から、UTMF2013の時に御守りとして預かり、その後「完走祝い」で頂きました。いつか自分で手に入れて、お返しするのが一つの目標です。子供が大きくなるまでは出られそうにないですが、その夢だけは叶えたいと思います。
Q.「嫁ポイント」や「ABOマイル」などご家庭との両立がお上手ですが、その秘訣とその中で組み立てる練習の極意を教えてください。
A.両立できているかと言われると、できていません(笑)
ランも今まで以上に力を入れたいですが、トレーニングできない時はキッパリ諦めて、できなかったことを後悔しないようにしています。
今は娘と遊ぶほうが楽しいかも
みんなと一緒に走りたいし、走力は落ちる一方ですが、今しかできないことをやるという意味では、家庭最優先がベストな選択かなとも思っています。
でも、やっぱりみんなと走りたい。。
「嫁ポイント」とは・・・家庭貢献でゲットできるポイントで、大会に出場するために必須の要件。UTMFなど数日家を開けなければならない場合は、大量のポイントが必要なため、練習時間を犠牲にしなければならない。
「ABOマイル」とは・・・練習の強度により獲得できるマイルポイントで、年間100ABOマイルを目標にトレーニングを行うことで、100マイルレースを完走する走力を身につけることができるシステム。
例 50km走(1ABOマイル)、トレッドミル傾斜15%deフルマラソン(2ABOマイル)、オールナイトトレイル走(5ABOマイル) etc..
Q.岡山のミスターUTMFの呼び声が高いですが、出場回数、完走回数を教えてください。
A.初開催の2012年に、STYで出場して以降は、全てのUTMFに出場しました。
2017年は開催されなかったので、6度出場し、全て完走しています。
今年はコロナにより中止、来年の出場権はありますが、娘2人の保育園が始まり、嫁も復職するので、すでにエントリーに赤信号が点滅しつつあります。練習返上して嫁ポイント獲得に全力を注ぎます。
Q.その中でも1番思い出に残るレースとその展開を教えてください。
A.2013年春に開催された、初めて出場した時です。
まだマイルレースのトレーニングとかが確立してなくて、オーバーナイトやBtoBなど試行錯誤しながらのトレーニングを行いました。
コース図を研究したりギアを改良したり思いつくものを全て行いました。
想定タイムを組んでみると完走圏内でしたが、実際は完走できるか不安ばかりで、何度もロングトレイルで練習してシミュレーションしました。
レースでは、タイムを気にせず走るためにタイム表もペースも気にせず、トレーニングと同じように走り続けました。
奥宮さん、望月さん、横山さん、ヤマケンさんなどがリタイアする高速レースでしたが、周りを気にせずマイペースに。後半や2日目は食欲が落ちたり眠気や疲労でペースが落ちましたが、それも想定どおりで、100km地点のエイドでは、想定タイムと1分も違わず到着しました。
夢に見た大会で、スタートの時も、エイドに着くたびに声援を受けた時も、ゴールする時も感極まって泣いてました。終盤は、極度の疲労からか、ランニングを始めてからのいろんな思い出が走馬灯のように頭の中を巡ってました。想像を絶するほどボロボロになりましたが、また走りたい、と強く思わせてくれたレースでした。
27時間34分50秒。46位でした。
Q.「俺チャレ」や「トレッドミルを使った激坂フルマラソン」など、もの凄いトレーニングはどんなきっかけで思いついたんですか?
A.「俺チャレ」を知らない人のほうが多いと思うので説明すると、キツいトレーニングをイベント化して、楽しみながらやり遂げるスタンスのトレーニングで、僕は箕面の「ちゃりらん屋」店長岡本さんからインスパイアされて、普段の練習に取り入れています。
どんな練習も習慣にできる人は結果もついてきますが、僕は習慣にするのが下手クソだし、努力を必要とするトレーニングは続かないので、キツいトレーニングも努力しないでやり遂げられる工夫づくりをしています。
ちなみに、、少し背伸びしてハードな大会にエントリーすれば、同じように楽しみながら限界に挑戦できます。僕は小遣いと時間の関係で、、安上がりな俺チャレを好んでやってます。
今までの主な俺チャレ
福山階段12時間耐久
阿智神社階段100参ル
トレッドミルで獲得標高10,000m
ロッキー映画全部観ながらトレッドミル15%
倉敷to道後温泉200km
倉敷to大阪200km
シルバーロード(出雲大社to尾道170km)
etc..
Q.無尽蔵のスタミナのように見えますが、レース以外も含めて1番体力的にキツかった事は?
A.100マイルレースは死ぬほどキツかったイメージばかりですが、ひとつ挙げるとすると初めての100マイルのチャレンジになった、2012年の八ヶ岳スーパートレイルです。(現在は開催されてません)
初めてのマイルレースで分からないことばかり。準備も装備も今思えば甘かったです。
11月開催で、深夜にレース最高地点の大河原峠を越える時、-10℃まで下がり、ジェルもドリンクも凍って、疲労で幻覚ばかり。ダウンジャケットもスノボ用グローブも歯が立ちませんでした。寝たら死ぬ状態からなんとか一晩かけて峠を越えました。
足を痛め、ストックを松葉杖代わりに進みましたが、ゴールまで10kmのところで倒れ、病院送りになりました。
今まで150ほどレースに出てますが、唯一のリタイアです。
この経験があったので、半年後、初めてのUTMFで100マイラーになれました。
Q.ズバリあなたにとって100マイルとは?
A.大学卒業の頃、複数の友人と書籍を出して、その本に「かっこいい父親になる」って漠然な人生の目標を書いてました。
今それを体現できるのが100マイルレースをボロボロになってもやり抜くことかなと思います。
なので、100マイルは手段であって目的ではない、まだもっと長く続いていくレースの途中のような。100マイルレースよりワクワクする目標を見つけて、それに向けて楽しみたいです。
100マイルレースに少しでも興味があったら、ぜひチャレンジしてみて欲しいと思います。岡山にはいい練習環境が多くあり、アドバイスしてくださるマイラーも多いです。
大きすぎるほどの目標に感じるかもしれませんが、それが今後のトレーニングの支えになり、完走したときには、それが人生の支えになると思います。
いつかOTRAで100マイル攻略の会もしたいなと思います